両国人教師による同時指導の試み(レジュメ)

中国社会が今多方面に、日進月歩の発展を遂げていく中で、言語においても 新しい単語や表現が生まれています。こうした変化にも遅れをとらず通用する中国語を如何に身につけるか、ということは中国語学習の上で一つの要になるのではないかと思います。そのようなニーズに応えるべく、中山時子先生は上級者を対象とした中国語のコースを設けております。このコースで中山先生は、理想的な授業目標を掲げ、追求されてきた 授業方法を発案されました。その基本方針は中山先生ご自身と中国人教師による中国語表現の共同指導にあります。一つの事を如何に中国人らしい発想で表現するか、これは中国語学習の最終段階で、最も難関です。ここに授業の構想と進行状況を報告致します。

授業に取り上げた題材には、中国社会のめまぐるしい発展や変化の過程で出現した諸事情・諸問題、および日中両国の歴史・文化・社会の相違点や類似点などに主眼を置きました。実際の中国語の学習においては、言語の違いに起因する様々な表現方法や、言葉の背後にあるニュアンスなどを分析し、中国語らしい表現を追求していきます。一つのテーマを機軸に授業を進めると同時に、新語や成語を使った短文作成練習を行い、そして、受講者の主体性が十分に発揮できるように、皆様が自ら選んだ興味のある日本語の新聞記事を中国語に翻訳する練習もします。教師と受講者が一体になって表現法のセンスを磨くことに努めています。

これまでに取り上げたテ−マ(題材)は次の通りです。

 テーマ

新語新詞

成語

従三到万

殷盛、臨朱、逾時、奈何

謙虚謹慎、循序漸進浅嘗輒止

南冠事件

到位、越位、欠位、媒体曝光

在其位不謀其政、恰到好処

電子政務

公関、数字鴻溝 一站式服

各自為政、各行其是

メンツ

晋了職

不正之風、順水推舟、歪門邪道

ナノテクノロジ

炒作、納米技術

急功近利、大張旗鼓、掉以軽心

過剰包装

上乘、充斥

錦上添花、喧賓奪主

  各授業は「中国社会・文化点滴」、「日訳中」、「修改病句」、及び「詞語」の四つの部分で構成されています。ここでは、「従三到万」を例に、授業の展開をそれぞれの項目ごとに説明をします。

中国語の授業の中で、このような二人の教師による指導の試みは私にとっても始めてです。毎回の課題を準備するために、インタネットを駆使します。その中からうまく新語・成語を使っている文章を選んで、中国語から日本語に翻訳し 先生に直していただき、 成語の近義語、同義語の注釈を調べ、中心となる課題に関連のある中国社会・文化の話題を集めて、やっと一回の講義資料ができます。中国語の表現はネイテイブの私にとっては当たり前の事ですので、「日本人の学習者にとって難しい所はどこなのか」についてなかなか把握できませんでした。中山先生のご指導のもと、このような授業の実践によって、私自身も受講者と一緒に成長しているような気が致します。


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