145146回

いまどきの若者が一番好きなことは、旅行・観光? スポーツ? ショッピング? ドライブ? それとも恋愛? 全部違います。どうやら自分の部屋でのんびりと過ごすのが好きなようです。「ゴールデンウイークの予定は?」と聞かれると多くの若者はきっと「家でテレビを見て、ゆっくり休養したい」と答えることでしょう。昔の若者ならお金が手にはいると、「自分の車が買いたい」とか、「海外旅行がしたい」とか、「ガールフレンドと高級レストランでディナーを楽しみたい」とか、「恋人と一緒にアーバンスタイルのデラックスホテルに泊まってみたい」などなどやりたいことがいくらでもありました。

所が、今の若者は外に出て何かをしようとせず、一人で自分の部屋に閉じこもっているのが好きで、それでこそ自由なのだと感じているのです。では、彼らはお金を使わないのだろうか? それも違います。お金は全部携帯とコンビニに使ってしまうのです。この二つのことこそ彼らにとって不可欠のニーズなのです。

二十世紀の若者は自分で十分なお金を稼ぐまでは、自分の車を持ちたいとか、海外旅行をしたい等の自分の夢を実現できなかったものです。だが、いまどきの若い者はそんなことはとっくの昔に卒業しているのです。此の点だけを見れば彼らは「早熟」と言えるでしょう。でも、彼らにはある種ゴーイングマイウェイの傾向があって、我慢することが嫌いで、人づきあいを好まず、自分を自由な小宇宙の中に閉じ込めているのです。こうした現象を分析した書籍が本屋には満ち溢れています。私に言わせれば、その一因は彼らの父親の世代と社会全体がずっと教育の責任をないがしろにしてきたことにあるのです。彼らの父親の世代が若かった頃の日本は今の中国と同じで、人々は皆「前進だ!稼ぎまくれ!」とばかり猛進する経済建設に身を投じているが、私は心底中国が日本の歩んできた道をたどることは見たくありません。


147148回

麗華:
 お母さん、新しいコート買ったのよ。見て!素敵でしょ。さっきマーケットで、一目見て気に入ったの。

母:
 お前ときたら給料が入ると、むずむずしてじっとしていられないんだから。先月一着買ったばかりじゃないの。あんなのとっくに流行らないわ。着てなんか行かれない。今年一番の流行は何といってもこれよ。毎月あれっぽっちのお金で流行ばかり追いかけて、お金は間に会うの? 着るものなんて数さえあれば云うことないでしょうに。あなたときたら、どこもここも着るものばかり。我が家はブテックが開けるわね。やれやれ、言っても無駄ね。お母さんの云うことどうしてちっとも分からないのかしら。

麗華:
 お母さんの云うこと聞いていたら、一年中同じ服ばかりで格好悪いわ。笑われちゃうよ。劉
萍萍 なんて毎日服を取り換えて、頭のてっぺんからつま先まで全部ブランドものよ。

母:
 ああ、あの子ね。いけ好かないったらありゃしない。毎日おめかしして、何様のつもりなんでしょう。たかが映画館の切符売りじゃないの。どこからあんなにお金が入ってくるの。きっと訳ありのお金なんでしょ。真似しちゃだめよ。私の若いころは・・・

麗華:
 お母さん、またその話。耳にタコができちゃったわ。皆がお母さんのように一着の服を何年も着ていたら、この国の経済は発展しないし、市場も活発にならないわ。時代が変わったのよ。お母さんも頭を切り替えなくちゃだめよ。


149〜150回

今、世の中では「婚活ブーム」がはやり始めている。その中で、成功した例にも事欠かないが、どうしても縁に恵まれずうまくいかないことも少なくありません。こうした人たちは際限なく「婚活」を続けて行くほか仕方がありません。

大部分の人にとって、婚活を選ぶことは人生の一大事なので、相手に振られると打撃が大きいのです。人々は自分の人格が否定されたように感じ、そのために再起不能に陥ることさえあるのです。相手に振られるのを恐れるあまり、消極的、悲観的になり、不安と恐怖、ひどい時には鬱の症状が現れ、中には過敏性腸症候群なる人もいるのです。

東京墨田区で精神障害患者を治療する「河本メンタルクリニック」では、去年の十二月に「婚活心理ストレス]外来を開設しました。この医院ではうつ病の患者が大多数を占めていたが、「婚活」に参加した後多くの患者の症状に繰り返し波動があるのに気付いた医者は、こうした婚活による心理的ストレスのある患者が苦悩と疾患から脱出するための心理療法的な支援の必要性を感じた。こうして婚活心理ストレス外来の出番となったわけだが、このことは取りも直さず現代社会の病巣のありかを知らせる一つの信号なのです。


151〜152回

「ドメスティックバイオレンス(DV)」という言葉は誰でも知っています。十年前のテレビドラマ「知らない人と話してはダメ!」で、社会全体がDV問題について改めて考えさせられました。

つい先週、広東省珠海市香州区の裁判所はちょっと変わった人身保護裁定――「立ち入り禁止令」を出したので、DVにさいなまれてきた申請者の陳円さんは一安心しました。夫の暴行に耐えかねて実家に帰ったこの原告のために、裁判所は陳円の夫が彼女の両親の居住区から100メートルの範囲内で行動することを禁止したのです。

DVに対して、間違った考えを持っている人も多くいます。ある人々はDVはプライベートなことなので、「公正な役人は家事を断じることは難しい」といわれるように、他人が口出しする筋合いのものではないと考え、さらに「家庭内のいざこざは外に言いふらしてはいけない」と思っている人もおります。従って危害を受けても、我慢して口に出そうとはせず、まして法律に訴えるなどもってのほかなのです。

153154回

今や飲酒運転は違法行為であり, 酒席に同席した者として、こうした違法行為が起こると知りながら止めなければ、一定の責任を負うべきである。こうした責任は、さらに言えば社会的責任である。特に、飲酒運転者自身の意識が余りクリヤ―でなかったとしても、同席した者が責任を負わなければならないのは当然です。

道義的には、運転する同席者が酒を飲んだり、飲んだ後に運転するのをやめ止めさせるのは至極当然なことだが、こうしたことは法的な義務とすべきではない。運転者は皆完全な行為能力のある成人なのです。他人が止めても云う事を聞かなかったらどうするのか?同席者に対する「責任追及」は決して法律上の責任を追及するのではなく、警鐘的効果を狙った一種の指導なのです。

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母:あなたのようにお金遣いが身についてしまうと、将来所帯を持ったらどうするの?ご飯さえ食べられなくなるわよ。

麗華:私はね。お金持ちを見つけるか、それとも結婚しないでお母さんのそばにいて一生面倒見てあげるわ。

母:おまえがかい? お上手なんだから。どっちが面倒見ることになるやらわかりゃしない。麗華、お母さんはお前におしゃれさせないと云うわけじゃないのよ。だけど、今一番大切なのは、お金を沢山ためて、いいお相手を見つけて結婚することでしょ。うまくいってから、おしゃれしたり、着たいものを着たって遅くはないでしょ。

麗華:何言ってんのよ。今おしゃれしなくて、七八十になっておしゃれしても誰が振り向いてくれるって云うのよ。私はそんな馬鹿じゃないわ。

母:やれやれ。何言っても馬耳東風ネ。[年寄りの言うことを聞かないと損をするはめになる」とはよく言ったものだわ。今私の言うことを聞かないと、後で後悔したってどうにもならないわよ。言いたいことは言ったから、聞くきかないはあなたの勝手よ。そうだ。もすぐお父さんが帰ってくるけど、いくらだったか云っちゃだめよ。お父さんが怒っても知らないからね。

中国語表現法研究  和文中訳

第一四五〜一五六回


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