地球・日本の・・とある場所。

暴走族と何やらもめている背中に羽を持つ少女。

そこへ助けに飛び込んだのは、一人の心優しき刑事・しし丸!<土屋大輔>

ただし・・・彼は滅法弱かった!!


〜その頃宇宙では宇宙海賊に宇宙刑事、そして宇宙王朝の王女が

 それぞれの思惑を胸に、その謎の少女を追い求め地球へ向かっていた。

 もっとも大切なものと引き換えに心からの願いを一つ叶えてくれるというその少女は神か悪魔か?〜


しし丸は見事?にやられてしまう。が謎の少女は、弱いくせに必死に他人を助けようとし、

更には少女には叶えてやることのできない願いを心に持つしし丸に興味を持つ。

地球に到着した宇宙海賊・アンタレスと宇宙刑事・シロンの戦いに巻き込まれるしし丸。

混乱の中、負傷したシロンを救うべく科学者のデリ博士はシロンのボディーを再生する間、

彼女の精神体をしし丸の脳の中に一時的に避難させる。

かくして、しし丸は内なるシロンと共に宇宙刑事の任務を果たすことになる。。

王女イシュタルと執事のアリエス、暴走族たちも巻き込んで、少女の争奪戦が始まる。。。

普段ボディーを占有しているのはしし丸だが、'アストラルチェンジ'(いわゆる変身ポーズ)をすると

3分間だけシロンと入れ替わることができ、その間、スーパーマン並の力を発揮することができる。

その力を持ってしても事態は好転せず、ついに少女はアリエスの手に落ち、

アリエスはアンタレスの力を借り、復活させた古代船で王朝復活の戦を始めようとする。

弱まったしし丸の精神体は、もうシロンと入れ替わることができない。入れ替わればしし丸が消えてしまう。

それは死を意味する。しかしシロンのボディーの回復を待てば時を逸していまう。

あとはしし丸自身が戦うしかない。。

アリエス達の暴走を止めるため、そして自らと関わった人達を救う為、しし丸はあとを追う・・。

・・・王朝復興の願いは潰え、船は沈んで行く。全員の脱出にはシロンの力が必要。

『自分と関わった人は不幸になってはいけない、幸せにならなくては。』

・・しし丸は限界を超えてアストラルチェンジをする。。



カストル、ポルックス、エンジェル、神、悪魔、、様々な名を持つ謎の少女・・

独りぼっちで生き続ける存在の彼女は友達が欲しかった。友達が欲しくて願いを叶えてやるが

叶えてしまうと友達でなくなってしまう。いくら願いを叶えても友達はできなかった。。

横たわるしし丸は、やっと手に入れた傍にいてくれる人。そんな少女の耳にしし丸を呼ぶ人達の

声が聞こえてくる。少女はしし丸に自分の本当の名前をそっとささやく。

生きてみんなの元へ戻るしし丸。。また独りになった少女の首にはしし丸の赤いバンダナが巻かれていた。



大輔さん演じるしし丸はひ弱な刑事。でも思いやりが深く、あきらめることを知らない強さを持つ。

母の遺した言葉を胸に刻み、自らの弱さを認めつつも生きていく意志の強さはしっかりとある。

力で争い勝つことだけが強さではないことを知っている。

しし丸の心からの願いは「自分と関わった全ての人が幸せになる」こと。

大輔さんはそんなしし丸の強さを、'優しい表情'の中にしっかりと浮かび上がらせていた。

(シロンは冷静沈着に職務を遂行する優秀な宇宙刑事。しし丸の感情が優先した行動に

戸惑い怒りつつも、徐々に理解し認め、信頼と絆を深めていく。)

そんなシロンとチェンジして入れ替わったときの感じもよかった。

単純に強くなっただけではなく、目線の置き方とかしし丸との表情や動きの違いが、

今戦っているのはシロンなのだときちんと伝えていた。

シロンと入れ替われないと知りつつ敵を追う時、そして最後のアストラルチェンジをする時の

決断の表情は力強さとすがすがしさがあって良かった。

私が一番気に入ったのは、自らを責め精神の底に隠れてしまったシロンを呼び戻す為、戻れなくなる危険も

あることを承知でしし丸が自らの精神体の中に入り込んでいく決断をするシーン。。

戻れなくなる、それは「一生夢を見つづける状態」と言う博士の言葉に、

『いい夢だといいなぁ・・』と言うその表情。周りのものまでも包み込むような、

染み込んでくるような優しい笑顔、その奥に強い信念がうかがえる、最高にいい表情をしていたと思う。


非現実的なお話、だけれど身近な現実と大差ない。この地球の現実と何ら変わらないものがある。

国・人種・生まれ・階級・地位・宗教・・そんなものが邪魔をして、互いを見えにくくしている。

そして互いを見ようとしないから争いが起こる。だからこそしし丸の願いは切なさを伴うほど優しく、

少女でさえ叶えることができないからこそ強く心に刻み込まれてくる。

しし丸の母が遺した言葉。。

『人を愛しなさい。全ての人を愛しなさい。もし、全ての人が全ての人を愛することができたら、

あなたも全ての人から愛されることができる。あなたはそのきっかけになりなさい。』

非現実的だと切り捨てたくないものがそこにある。

この物語の中ではしし丸の、力ではない彼の内なる強さが周囲の人々を強く優しくさせていく。

そしてそれぞれが自らの内なる強さをもって試練・苦境を乗り越えていく。

想いの強さ、、だけでは世の中は変わらないだろうか?けれど何をすればいいのかもわからない。

それでもせめて優しい想いを抱きつづけること、みんなが幸せであって欲しいと願いつづけることだけはやめたくない。