『サンタクロースの弟子』観劇記 by yuyu
今回は三回の観劇。三回とも泣いたり笑ったりと「アッ!」と言う間の2時間だった。
キャプテンチンパンヂー・「サンタクロースの弟子」初日は、偶然にも東京にその年の
初雪が空からチラチラと舞い降りた。いい席に座りたくて早くからシアターグリーン
の入り口に並ぶ。我々が一番目のグループだった。外は寒かったけど耐えて待った。
その努力の甲斐あって大好きなカブリツキ席確保!(やったぁ〜!)
【登場人物】
● 二階堂聖(土屋大輔)
弱っちく、営業成績が悪く部長に叱られてばかりのダメ男?だけど、子供の頃から
「サンタクロースになりたい」と夢見ている。サンタクロースの弟子になる主人公。
● 八神恭子(池上映子)
両親が腕利きスリ!南池袋一の女スリとして名高く、ある日カタリナの持っていた
ゴールドスターを掏った事から、サンタクロースの弟子修行に一枚咬む事になる。
● ポチ(和泉みか)
カタリナと居た犬。大阪弁のポチは、サンタクロースの弟子、二階堂の相棒となる。
● レシクール(チャーリー畠山)
子供の頃クリスマスに両親を亡くす。カタリナが助け修行を受けさせサンタクロースに
なったが、今やクリウスの片腕として世界支配に手を貸す、強い力と頭脳の持ち主。
● 山田九郎・やまだかずろう(そーた)
12人のサンタクロースの中で唯一日本に居るが、雪女の深雪とかけおちし、相棒の
コロに見放され、サンタクロース協会から追放されが、今回の一件で二階堂の力になる。
● 山田深雪(長浜良子)
サンタの九郎と駆け落ち生活する雪女。伝説の悪いイメージとは一味違う雪女で、九郎
が二階堂の仲間になれば自分が必要でなくなると思い反対するが、最後は戦いに参戦。
● コロ(木村賢)
電撃のサンタクロースと呼ばれた九郎の相棒だったが、駆け落ち騒ぎでサンタでは無い
九郎に愛想を尽かし出て行った。ギターを持った気ままな渡り犬(笑)?とても強い!
● カタリナ/クリウス(sundave)
カタリナはサンタクロース協会で一番偉い大サンタクロース。ゴールドスターを持って
いる。危険なところを二階堂に助けられ、彼の夢を叶えてやろうとする。
クリウスは双子の妹で同じ力を持つシルバースターを操り世界を救おうとしていたが、
いつしか世界を征服しようと考え始める。
● 夏美/真冬(白井美紀)●晴彦/秋雄(廣川政紀)
夏美と晴彦はクリウスに使える妖精。真冬と秋雄も最初はクリウスのもとで人を救って
いた優しい心の持主だが、いつしか変化したクリウスの手下として悪の道を歩いている。
● ディアナ(成瀬美帆子)
サンタクロースとして活躍していた頃のレシクールの相棒だったが、捨てられた。
● 板根博士(坪田直也)
有能なのに貧乏で、成果を公にできずにいた博士にクリウス財団が目をつけ資金を出す
代わり、レシクールの言い成りになる。ピーディー病の治療薬を開発。ノーベル賞候補
の有名人となるが、金や名誉の為に本当の自分を見失っていかけていた。
● 板根奈々(小室いつか)
博士の愛娘で、クリウス財団と手を組む父を許せないでいる。良い子すぎる自分を
変えようと八神にくっつきはじめる。
● エスメラルダ(三木美幸)
ピーディー病が多発し、薬が手に入らず死んでゆくザカリア共和国の人々を救うため
博士の研究を盗みに不法入国してきた女性。
● ガイロック(竹井一晴)
エスメラルダの幼馴染のザカリア人で、ピーディー病に関するデータを入手する為入国
していが、レシクールにそそのかされ、クリウス財団と手を組む。
【あらすじ&感想文】
堅苦しくない様に会話調に進めるね。このお話は種類で言うと『庶民的SFファンタジー』
っていうのかな(笑)「サンタクロースになりたい」っていう夢を抱いていて生きている、
今時珍しい(笑)普通のサラリーマン、そう!我らが大輔さん演じる二階堂聖が、ひょん
な事から、サンタクロースになるチャンスに恵まれる話!でも世の中そんなに甘くない!!
サンタになんて簡単にはなれない、その大変な成り行きが、このお話全体になるって訳。
本ベルがなり、客席も舞台も(客席と舞台が一体化している風な空間だった)真っ暗・・・
いきなり目の前に(手を伸ばせば触れる距離)にレシクールが!思わずのけぞった(爆)
レシクールがサスの光の中でクリウスと相談している場面が少しあって・・・場面展開。
二階堂聖は、少しうつむき加減でハーモニカ(子供の頃にサンタクロースからプレゼント
されたものらしい)をふいて時間を潰している。
≪大輔さん、この角度がカッコイイ〜!なんて思いながら、聴いていると、曲が赤とんぼ?
クリスマスの時期なのに、何故か秋の曲なのよね〜。う、でもいい音色(爆)!!≫
今日もまだ一件の営業成果もあげていない彼の携帯電話が鳴る。部長からの怒鳴り声が
聞こえるかのような電話らしく、二階堂ピンチ!と、そこへ、その場を立ち去ろうとする
二階堂に見知らぬ女(八神)がぶつかっていった、っていうか掏りならでわの行動ね。
だけどね、二階堂は今まで5個も財布をなくしているから、自分で財布にゴムをつけて
落さないようにしていたんだって。あはは!でも二階堂くんたら、落しそうになった財布
を八神が拾ってくれたと思って礼言うし!ったくも〜!の感じだわ。笑っちゃうんけどね。
二階堂と入れ替わりに、ポチを連れて人間界・日本に来ているカタリナがやってきたの。
彼女が誰でそれが何ともわからず、八神はカタリナの持ち物・願いが叶うゴールドスター
を掏ってしまうの。掏られた後は大騒ぎ、慌てて取り返しに行くのだけれど・・・。
そんな八神ところに、悪になりたくて仕方のない板根博士の娘、奈々がやってきてしまい、
「八神さんの弟子にして下さい」という訳で、その後も金魚の○ン状態で最後まで・・。
八神を見つけたカタリナがゴールドスターを取り返そうとしたんだけど、ゴールドスター
を狙うクリウス財団の夏美や春彦が邪魔にはいってきて、強い春彦が全員やっちゃうの!
二階堂なんて、ピンッ!て横っ面はたかれただけで目を回すんだよ(目の回し方上手い!)。
なんて感心していたら、レシクール登場!まあ、レシクールはカタリナに恩がある訳で、
それがきっかけで、何とかゴールドスターを悪の手に渡さずに済んだのね。
カタリナは、二階堂へのお礼として「何かひとつ願い事を叶えてあげる」というの。
もう私なら何を願いましょうか・・・って程たくさんの夢があるわ〜!by yuyu(爆)
二階堂は迷いながらも『じゃあ、僕をサンタクロースにして下さい。』なんて言い出して、
自分はどうしてサンタクロースになりたいのか、二階堂は自分の夢を語り始めるの。
それは子供のように純粋で誰もが出来そうで出来ない事だった。不器用でとりえのない
自分だけど、プレゼントすることによってみんなを少し幸せにしたい。サンタになれば
お金の事を心配せずにプレゼントできるから・・・。って、う〜ん、泣かせるねぇ(笑)。
皆が少し幸せでいる事を手助けしたいと願う為の夢だったわ。う〜〜っ、あの笑顔で
あの台詞言われると・・・早い人はここでウルウルしてらっしゃいました。(TT)
サンタになるなんて、とんでもない発言をするのだけど、ただね、それ聞いたのは
大サンタクロースだもの、『いいわよ、おなりなさい、サンタクロースに!』という
ので、夢が叶えられるかも知れないって事に!何で「・・・かも知れない」のかって?
サンタクロースって簡単になれる訳じゃなくて、修行がいるんだって!
カタリナはゴールドスターでサンタクロースの弟子の証であるサンタ帽子を出して、
ポチを二階堂の相棒にしてくれたの。それと、大変!あのゴールドスターを守って
欲しいって、持たされちゃうのよ。でもね、ポチって犬なのよね〜。相棒って言わ
れても・・・と困ったのも束の間!サンタの弟子の証を身に付けた二階堂はポチの
大阪弁が聞こえる!この大阪弁には私も客席のお客さんも爆笑でした。だって二階堂
との掛け合いは、まるで漫才みたいにテンポが速くて面白かったのだもの♪
晴れて二階堂とポチはサンタクロース修行をする為に山田九郎という、12人の
サンタクロース中、唯一日本に住むサンタクロースの家に向かう。
ポチがイチ押ししていた九郎はナント!雪山で助けてもらった雪女の深雪と駆け落ち生活
をし、サンタクロース協会から追放されていた!
きゃ〜!雪女とサンタクロースが駆け落ちだなんて・・・独身同士だったんだぁ(爆)。
池袋三丁目の九郎の家に出かけたのはいいんだけど、九郎はすでにサンタの鋭気を失
っていて、弟子を持たないというの。困っちゃうよね〜〜〜
≪ここでちょっとそれるけど、レシクールも九郎も昔はすごいサンタクロースで
良きライバルでもあったのだけど、ある日配ったプレゼントが捨ててあったの。
それを見てしまった二人は悩んだ。そんな時に二人の運命を変える人物が現れた。
レシクールはクリウス、九郎は深雪のもとに。と言う事なんだよね。解るかなぁ?≫
PD病の特効薬を考えだした板根博士は、レシクールの言い成りに・・・。
貧しくも幸せだった暮らしから一転して、クリウス財団と手を組み金持ちになった
暮らしに反抗し、悪になりたい娘の奈々。奈々は貧しいザカリア人みんなにPD病
の薬を分けてたりたいの、本当は板根博士自身も同じなんだけど、研究を進める為の
資金を作るためにやむを得ずレシクールの言い成りになっているの。
ザカリアからは薬の情報を盗もうと、ガイロックやエスメラルダが不法侵入を図って
いたんだよね。夏美と春彦は後にこのエスメラルダを人質に罠をしかけちゃうの。
夏美と春彦に捕まったエスメラルダを助けるために二階堂、八神、奈々、ポチたちが
めちゃめちゃヤラレてる時に、コロが登場するのだけど、コロってとっても強いの〜!
倒れたエスメラルダを九郎のところに連れて行ったの。九郎は二階堂のゴールドスター
を使い、八神と奈々にも帽子を出した。こうして九郎は二階堂に手を貸すことになった。
ザカリア人のエスメラルダからPD病の話を聞いてみんなで考えたの。二階堂はどうに
かして自分は誰かの役にたちたいと訴えるの。そんな時にいきなり入ってきたのが、
サンタクロース協会から来た犬のディアナ。サンタクロースのサンタスーツを持ってきた。
最先端の科学技術を備えたスーツを二階堂は手に入れた〜!すご〜いんだけど、ピンク
でとってもかわいいんだよね〜。
二階堂、八神、奈々はゴールドスターに導かれ、妖精の秋雄と真冬の居る星にたどり着く。
そこでゴールドスターの本当の意味を知る事になる。サンタクロースの魔法の力の源
になるその星・・・姿を現した大サンタクロースからゴールドスターの使い方を教えて
もらったの。使い方を間違えて、人の人格を変えたりするのに使っちゃうとその者は
その人でなくなるんだって。カタリナの双子の妹クリウスがその例なの。最初クリウスは
カタリナと共に世界を救っていたの、ゴールドスターと同じ力を持つシルバースターを
使ってね。だけど、人の心を変えて良くしていくうちにクリウスは本当の人格を失い、
世界を支配するように思い始めた。レシクールも最初はカタリナのもとで修行した
サンタクロースだったけれど、クリウスに変えられて世界征服をたくらむ人物になって
しまったっていうことらしいの。今では世界征服の為にゴールドスターを奪おうと
しているから、二階堂もここからが大変な訳〜。
エスメラルダとガイロックが手に入れたいPD病薬のデータを手に入れる為、皆で
力を出し合うことにするのだけど、本当はガイロックはお金に目がくらんでいて、
博士がクリウス財団と協力して研究成果をだした他の薬のデータを騙して奪ったの。
ガイロックはその後クリウス財団と契約を結んでしまったの。
九郎は二階堂の修行をすることになったんだけど、それが大変な修行。
かくれんぼ5段の必須科目には笑ったけど。ポチはコロから厳しい修行を受けて
一度諦めかけるけど、二階堂に諭されるの。ポチ、八神のエールを受けて二階堂も
修行に励むことになる。
いよいよクリスマスイヴ。指定された数のクリスマスプレゼントを配る試験日になった
のだけど、そんな時に奈々たちがザカリア政府に捕まったという知らせがはいっちゃう!
クリウス財団の罠と知りながら、八神の嘆願で、二階堂たちは奈々たちを助けに行く
事になるの。でもね、試験が受けられなかったら二階堂はサンタになれないのに・・・
時間切れになれば、全ては幻になるというのに・・・。
二階堂の願いで八神とポチを引き連れて助けに行っちゃうの!
やっぱりゴールドスターを奪うための夏美と春彦の罠だからまたまた皆で大暴れ!
その暴れ方に開場爆笑。スーパーサンタスーツのリモコンで、弱い弱い二階堂がめっちゃ
強くなったり、コマネチしまくったり〜(笑)。
なかなか決着がつかない中、レシクール、九郎、深雪、コロ、ディアナ・・・と
全員が団結することになるの。みんなの力をあわせてレシクールと戦うの。
レシクールは黒いサンタクロースとなり戦いに挑むのだけど、これがリモコンで
操られるのね、コマネチ、ガチョ〜ンっていろいろと大忙しで・・・(爆笑)
そんな中で二階堂は肌身離さず持っているハーモニカをレシクールとクリウスに
見せるの。自分はこのハーモニカを子供の頃にサンタクロースにプレゼントされて
嬉しくて、そのときからサンタになりたいと思った・・・ってね。
だけど、そこへクリウスが現われちゃうのよ!すごい力で二階堂のゴールドスターを
奪おうとするの。二階堂は必死で守るのだけど、すごい力だった。クリウスは二階堂
に契約を結ぼうと言うんだけど、二階堂は三つの願いと交換に承諾するって言っちゃうの!
≪このへんのバックライトの使い方なんて迫力あった〜。大輔さんも後ろ向きの台詞
は大声たいへんだったでしょうね〜≫
PD病の薬をザカリアの人々に薬を与える。クリウスの手下の夏美と春彦を死なさず
自由にする。二階堂本人をサンタクロースにする。というものだったの。
その契約は最終的には交わされなかったことになるわね。
そして、クリウスを鎮めたのはレシクールだったのよ。レシク―ルも本当は真の悪じゃ
ないんだよね。二階堂に好きな道を歩ませてやって欲しい。なんてカッコよかったなぁ。
夏美と春彦は妖精の真冬と秋雄のもとに呼ばれて助かったのよね。
でも、二階堂にはサンタクロースになるための時間がない。諦められない皆は
カタリナに二階堂をサンタクロースにしてくれるように嘆願するのだけれど、
修行を終えないと無理ということになったわ。とにかくわずかな残りの時間で
やってみなさいとカタリナから言われ、八神、ポチ、二階堂は街へ飛ぶ。妖精達
も手伝い、手分けしてプレゼントを配ることに、中にはシアターグリーン行きの
プレゼントがあって、私たちまでプレゼントが!≪なんて粋な計らいなんだ!≫
最後の一個・・・それは隣の街のものだった。間に合わないと知りながら、それ
でも二階堂は配ろうとするの。だけどポチは止めたよ。ポチにとって二階堂は
人間であってもサンタクロースだったんだって。三人が手をつなぎ合う。
記憶がなくなる瞬間にお互い手を離さずいれば、どこかに記憶が残ると信じて
三人は固く手を握り合うの。もう、泣けるのよね〜・・・。
次の瞬間、二階堂はもうサンタクロースの弟子じゃなかったわ。
スーパーサンタクローススーツを着ていないの、背広姿で泣いている二階堂。
ワンワンとしか言えないけれど泣いているポチ。誰だお前と言いながら泣いている
八神。記憶はなくなっちゃったけど、きっと何かわかったんだろうな〜。
幕は降り、だれも席を立とうとしなかったの。長い間拍手がなりやまなくて。
泣いてる人、ボーっとしてる人、アンケートの感想を書き始める人。ほんとうに
珍しいと思うほど席をすぐに立つ人は少なかった。
サンタクロースっているかいないか?それは誰も決める事はできないよね。
子供の頃は居るって信じていて、親がサンタとわかっても不思議でなかったけど、
今でもどこかに、この話でいう大サンタクロースが居てもいいじゃん、みたいな気分
でいる。サンタクロースが本当に居るんだよ、ってマジな顔で誰かに言われても、
笑えないんだと思う、私。子供の中にはサンタクロースの存在を疑わない子も居るし、
大人になってもサンタクロースがいればいいのにと願う人も居て、クリスマスの時に街で
バイトをしているサンタのお兄さんたちを観ても嬉しくなってしまう時もある。
それだけサンタクロースって夢人なのよね。そんなサンタクロースをファンタジックで
ありながらも、めちゃくちゃコテコテに庶民的なタッチで表現してしまう部分もあって、
私はこの話が大好きでした。二階堂役の大輔さんも役に合ってたんじゃないかしら?
違和感なく、もしかしたら、本物の大輔さんもきっとどこかでサンタになれたらなんて、
少しでも人を楽しませたり幸せにできればって、思ってるんじゃないか?そう感じさせて
くれました。この話の中の最後の方で二階堂が発した言葉が今も耳に残っています。
『何かを与えられた人間は、何かを与える喜びを知ることができるから人は変われる
事ができる・・・。』たしかそんな台詞だったような・・。確かにそうかも知れないです。
二階堂がどうしてサンタクロースになりたかっのか、すごくよく解る叫びだった。
二階堂は弱くて何もできないような設定だったけど、本当は凄く与え続けていたのね。
板根博士や、八神や、ポチが自分を卑下してたとき、その人に歩み寄り励ましたのは
二階堂だった。深雪やレシクールまでも理解してあげようとしたり、夏美や春彦を助け
よとしたり・・・彼は姿はサンタじゃなくても、みんなにすばらしい贈り物をした
立派なサンタクロースになってるんだな〜って、心があったかくて胸がジーンとして、
私も何か素敵な贈り物をもらえた気分になりました。 おしまい!