私にとって初めて観る、土屋大輔さんの舞台、『メロス・ゲーム』
最初、公演名を耳にした時『走れ!メロス』と何かかけてあるのかなと
思いました。舞台のあらすじを読んで、『制限時間内に仲間の所に戻っ
て来る』、ここは共通していたかも。知らない間に、何者かに全く見覚え
のない場所に連れて来られて、そこから抜け出せるか・・・『CUBE』とい
う映画もそういう設定がありました。それはさておき、今回の大輔さんの
役は『鮒村(フナムラ)』、パンフには『皮パンの男』と付け加えてありま
した。確かに、皮パンの男です(皮パン履いてましたから)。
鮒村の性格は・・・、これは私が感じた事ですので、観劇された方々で
受止め方が違ってくるとは思いますが、まぁ一言にまとめてしまえば「
冷たい奴」でしょう。「クール」という言葉は少し合わない感じですね。
みんなの話は聞いてはいるけれども、中心には入ってこない。携帯依
存症のごとく、常に携帯をチェックしている(でも電波状態悪いのでは?)
お金持ちのおぼっちゃまなので、大金の手配はおまかせあれ。自分の
父親の愛人は自分の彼女という・・・。
全く顔も知らない、性格も違った人間が連れて来られて始まった『メロ
ス・ゲーム』。チームの中で1人代表を決め、その代表は24時間以内
に1億円を持ってまた元の場所に戻ってくる。しかし、1度決めた代表
の変更は不可。もし代表が戻って来なければ、残された人間に待ち受
けるものは『死』。
代表になるという事は、全ての責任を背負わなければならない。みん
な「俺にはできない、俺は〜だから」という理由で、代表を他人になすり
つける。人間って、何かを決める時にこういうのあるなって思いました。
職業で決めつけてしまったりとか。いい人だなって思ってた人が、最後
には本性表したり・・・舞台の中では、私立小学校の教師 後藤の性格
の変貌ぶりがすごかったです。
ただ、みな『死』を恐れている中、1人「楽に死なせて下さい」と言う男が
いました。萩本という白い服を着た青年です。病から生きる希望を失い、
1人隅に座り違う雰囲気がありました。でも、最後に彼に「生きろ!」と
言い放ったのは、『メロス・ゲーム』2度目の参加者で今回も代表になっ
た長友でした。長友は前回のメロス・ゲームでも代表になっていましたが、
戻って来る事はなく、仲間は・・・。
ゲーム開始の際に仲間から預かったそれぞれの身分証明を頼りに、ゲ
ーム終了後、遺族を尋ねて「友人」としてしか名乗る事ができなかった。
「自分は人殺し」だというレッテルを自らはり、今回も「そんな自分を本当
に信用できるのか!!」と。でも、彼が萩本に言い放った最後の言葉に
は涙が出たほど私は衝撃を受けました。
観劇してから時間が経てば経つほど、1人1人のキャラについていろい
ろ分析してしまいます。このメロス・ゲームの参加者にはそれぞれ「依頼
者」がいます。みんな「自分の依頼者は誰だ」と考えていましたが、代表
の長友の依頼者は、メロス企画のバイト 高山です。高山の兄は、前回
のメロス・ゲームの参加者です。そしてその時の代表は長友。「復讐」の
意味も込めての依頼。
人間の本当の性格、感情をすごく考えさせられる舞台だったと思います。
それぞれのキャラが1つ1つ印象に残ってますが、メロス企画の社長
鈴木の最後の日本刀を持って出てくるシーンはマジで怖かったです(笑)
沙羅の観劇記は以上です♪