突然10人の男達が監禁されて、命を賭けたゲームを余儀なくされる。
なんの繋がりもない出会ったばかりの赤の他人が、その中の一人に命を預け、残りの人間は
ひたすら信じて待つことに賭ける選択をする。
随分突飛なお話。だけれど説明台詞とか余分なものがなく、とてもシンプルなつくりで、
男達の混乱と共にいつのまにか自分もゲームの11人目の招待者になっていた。
監禁された10人はみんな生きることにどこか斜めになっている。
生きることに真っ直ぐになるのを怖がっていて、何かをあきらめることで自らを
生かしているようなところがある。誰でも多かれ少なかれ何かを抱えながらなんとかバランスを
保とうともがいているんじゃないのだろうか。だから話しの設定が突飛でも自分が11人目になってしまう。
どこか迷路にはまってイライラし、途方にくれている迷子の集団の様。
でも、一人じゃないって思えることは力になっていく。
大輔くん演じた鮒村は・・ひねくれた言動、気取っていて数字で人を判断しようとする嫌なヤツ。
けれどたぶん、10人の中で一番、臆病で、冷めたふりをしているけれど愛されたがっている・・生きることを
模索している人物かな。みんなに加わりたげなのに、自分は違うって態度を見せる。
どうしていいのかわからない彼もまた迷子。
「信じること」
信ずるに値する人というのはどう言う人をいうのだろう?
職業・地位・経歴・お金・・・
人と人が対峙した時、実はそんなものはほとんど意味をなさない。
人を信じる根拠ってなんなのだろう?
私はやっはり出会ったときの感覚だろうか。それを根拠と呼べるかわからないが。
後はその判断を信じつづけるしかない。良い方にしろ悪い方にしろ
それが覆る時だって当然あるけれど。
人を信じるのは結構勇気と根性が要ると私は思う。だって、それはその人を信じた
自分自身を信じることなのだと思うから。
「生きること」
生きて行くことは確かに大変なことかもしれない。でも日々の中で、小さくても素敵なコトは
自分の周りでたくさん起こっている。それを拾い集めながら毎日を過ごす。
くだらない・つまらないコトと思うか、生きるチカラに変えられるかで、
毎日の色は随分と変わる。何をしても顔の上がらない日だってあるけれど、
生きていることを幸せだと思える日々の方がいいに決まっている。
監禁された10人。決断を迫られる緊張と不安の中で、それぞれが少しずつ変化を見せていく。
バラバラだったベクトルが'生きる'為に一つの力になっていく。
無事にそこから出られたとしても過酷な現実が待っている。それでも生きる為に信じることに
賭けた彼等の目には決してあきらめない力強さが宿っていた。